アメリカの大手ラジオメディアであるiHeartMediaがイベントやコンサートを開催するための専用スペースをFortnite内に立ち上げるようです。
このバーチャルパークは、iHeartLandという名前が付けられており、ゲームのクリエイティブモードを使って開発されています。
iHeartLandにはいくつかの異なるエリアが用意されているとのことです。
この公園には、「State Farm Park」と呼ばれるメインステージ(保険会社State Farmとのコラボレーション)、ミニゲーム、そしてiHeartMediaのデジタル「本社」などが配置されます。
ミニゲームの内容は今後変更される可能性がありますが、発売日にはカーレース、障害物コース、建築ゲームなどが予定されています。
State Farm Parkのバーチャルステージでは、巨大なスクリーンでパフォーマンスを見ることも可能です。
デジタル本社自体には、バーチャル放送の収録スタジオや、ニューヨークにあるiHeartの実際の本社に置いてあるトンネルのレプリカがあります。

レコーディングスタジオの用途については今のところ言及されていませんが、おそらくiHeartMediaのプレゼンターがデジタル空間に入り込んで、イベントの解説を録音すると考えられます。
State Farm Parkのステージには、パフォーマンスを見るための巨大スクリーン、セルフィーが撮れるレッドカーペット、芝生のエリアには、ゴールド(ミニゲームで獲得)と引き換えにエモート(Fortniteで自分のキャラを躍らせたりできる機能)やバーチャル花火を売るベンダーがいます。
ゴールドの通貨はiHeartLand独自のものですが、専用のものなのか、それともFortniteの他の場所で入手可能なのかは不明です。
また、iHeartLandの構築にはFortniteのクリエイティブモードが使用されているものの、これは独自に作成された空間であり、FortniteのEpic Gamesがスポンサー、保証、管理するものではないことも特筆すべき点です。
このバーチャルワールドでは、これから12ヶ月の間に20のイベントが予定されており、その第一弾として、9月9日にCharlie Puth (チャーリー・プース)の事前録音されたパフォーマンスが上映される予定です。
このコンサートでは、プースの近日発売予定のアルバムから新曲が披露され、プレイヤーはプースが主催するトリビアゲームに参加することでゴールドを獲得することができます。
また、10月7日にはiHeartLandで別途アルバムリリースパーティーが公開される予定です。
アリアナ・グランデやトラヴィス・スコットといったアーティストがフォートナイトで行うパフォーマンスなど、他のバーチャル・コンサートとの重要な違いは、プースがデジタルアバターとして登場しないことです。
その為、ライブはステート・ファーム・パークのステージで2D上映するために事前に収録されています。
iHeartLandは、巨大メディア企業のWeb3への投資の一環であり、若い視聴者に向けてマーケティングを行う試みと言えます。
近年、フォートナイトをメタバース・エンターテイメントのプラットフォームとして利用したマーケティング施策は数多く成功しており、アリアナ・グランデが開催したフォートナイトコンサートには2770万人のユニークユーザーと1230万人の同時アクセスプレーヤーが参加しています。

これらの統計はiHeartMediaのマーケティングチームにとっていい前例であるのかもしれませんが、注目すべきは、そのような成功したメタバース上でのパフォーマンスのほとんどは、よく宣伝された状態でアバターを使ったパフォーマンスを行っているということです。
ここで1つ大きな疑問になるのは、若者が形成する市場は、iHeartLandで録音されたコンサートを見ることにそれほど関心を持つだろうか、ということです。
iHeartMediaとState Farmの両社は、現在のiHeartLandが失敗した場合にも対応できるように準備しているようです。
The Hollywood Reporterとのインタビューで、iHeartMediaの最高マーケティング責任者トーベルマン氏は、「iHeartLandとState Farm Parkは、プレイヤーが何を愛し、何を愛していないかによって、違う形に劇的に進化する可能性がある」と述べています。