アンジー・ギフォードは、Meta(旧Facebook)のヨーロッパ、中東、及びアフリカ地域での新たな副社長です。
ヒューレット・パッカードやマイクロソフトなどのテクノロジー企業で30年以上の経験を持ち、2020年にメタに入社しています。
今回は、そんなアンジーが語ったメタバースの未来について紹介します。
技術による繋がりの変化
アンジーは2022年の“カンヌライオンズ・フェスティバル・オブ・クリエイティビティ”(世界最大級の広告賞)でEuronews Nextにこう語っています。
「クリエイティビティとは繋がりに関係するものですが、最近の繋がり方は変わってきています。つまり、VRや連絡ツールが、企業と消費者の繋がり、コミュニケーションする方法を再定義しているのです。」
そして更に、「経営陣は今後ますます注意を払うべきです。」と彼女は続けます。
「新型コロナウイルスの大流行をきっかけに、リーダー達は新しいコミュニケーション技術、連絡手段の重要性に気付いたのです。B2BでもB2Cでも、コミュニケーションに役立つ技術の向上が見られます。企業は今、この大きなトレンドを逃すと大変なことになると、二の足を踏んでいるのです。」
技術革新と人々の繋がりに関する彼女の考えは、カンヌライオンズの現場で共有され、メタバースを作り上げていく未来についても語られました。
彼女は、今から5年から7年の間に現実化するだろうと語っています。
では、VRはメタバースにおいて具体的にどのような役割を果たすのでしょうか。また、マーケティングや消費者との繋がりを担うリーダーは何を知る必要があるのでしょうか。
VRとARが可能にすること
Meta、Google、Amazon、Appleなどの企業が研究者や学者とともに構築しているメタバースは、コンテンツとデジタルアバターで構成される3Dの仮想世界です。
メタバースとAR、VRを組み合わせて生み出されるオンライン体験は、ARやVR技術だけによって作られるものよりも、遥かに相互作用的なものになり、企業は独自の感覚的な体験と、消費者との強い結びつきを生み出すことができるようになるのです。
「インターネットを見るのではなく、インターネットに乗るのです。これは、インターネットの没入型バージョンであり、私達がどのように一緒になるかということです。これは次の時代の大きな流れです」と彼女は表現しています。
メタのプラットフォームでは、既に7億人以上の人々が、教育、コミュニケーション、エンターテインメントなどの目的でARやVRを利用しています。
例えば、メタはベルリンの「アルテ・ナショナルギャラリー」と協力し、若い観客とより親密になるためのデジタルアート体験を実現しています。
ユーザーは絵画を見るだけでなく、VRヘッドセットを使って「絵の中に入る」ことができ、多くの作品を3Dで見ることができます。
他にも、ドイツの自動車メーカーであるBMWも、VRを使って潜在的な顧客に最新車種のイメージを提供しています。
そして、この技術は企業だけで使われるのではなく、技術の向上と普及によって、将来的には一般の人々も大切な人とオンラインで繋がる際に、ARやVRを利用することになるだろう、と彼女は話します。
彼女が描く未来では、人々はメタバースの世界で交流し、家から出ることはほとんどなくなるのでしょうか?
答えはNOです。
メタバースの限界
アンジーは、「人と人との直接の繋がりに代わるものはなく、これらのプラットフォームはオンラインでの繋がりを強化するためにのみ存在するのです。」と話しています。
「メタバースでの時間と直接的な交流を置き換えることはしたくありません。どんな技術も直接的な人の交流に代わることはできません。」と彼女は言います。
「しかし、オンラインで過ごす時間の質は高めたいし、一緒に過ごすのが難しい人達を一緒に過ごすことが出来るようにしたいのです。」 彼女は、最後にメタバースを推進する理由をこう語りました。