ビームスは日本全国にショップを展開する、だれもが知っている超有名セレクトショップです。
そのビームスがなんと、メタバースの世界に飛び込んできました。
リアル世界ですでに大成功しているビームスがなぜ、未知の領域であり、まだまだ発展途上であるメタバースという新しい世界にどこよりも早く飛び込んできたのでしょう。
今回はビームスとメタバースについて詳しく解説します。
ビームスがメタバースに参戦する理由とは?

ビームスのメタバースへの考え方はシンプルです。
ファッションの観点でいうと、服を選ぶことが自己表現の一つであるなら、メタバースではアバターを選ぶところから含めて自己表現ではないか、ということです。
つまり、ビームスはアバターそのものがファッションであると考えています。
元々あるものと違ったかたちで表現するメタバースというデジタル世界は、人にとっての真実を反映する場所になるかもしれません。
なぜなら、見た目も格好もリアルと同じである必要はなく、自由に自分を着飾れば良いからです。
ビームスがメタバースで人々に対して何ができるか、それはビームスがセレクトショップという最新トレンドを紹介するところであることも含めて、個人の自己表現に対してメタバースで果たせる役割が多いということです。
メタバースは今、自分を見せるというよりは「リアルにはない自分」を実現し、表現する場となっています。
しかし、メタバースが今後、SNSのように多くの人に広がっていくのだとしたら、よりリアルに近い自分の姿を見せたいと思う人が増えても不思議ではありません。
メタバースはまだごく一部の人の領域となっており、人々の欲求がどの方向に向かうのか不透明で、ビームスはどんな人に、どのようにアプローチしていくのか試行錯誤することでしょう。
実際、ビームスが売れると思ったものが売れなかったり、逆にあまり期待していなかったものが予想以上に売れたりするなど、思い通りにはいっていないようです。
ビームスはチャレンジャーらしく、「だからメタバースはおもしろい」と考えています。
ビームスのこれまでの歩み
どこよりも早くメタバースに注目
ビームスはメタバースという言葉すらほぼなかった2008年、カプコンと当時のドワンゴ子会社の共同出資会社が運営していた「ダレットワールド」に出展していました。
ダレットワールドというオンライン3D空間内でビームスはバーチャル店舗を持ち、ユーザーはアバターを操作してショッピングやファッションを楽しめるというものです。
ダレットワールドはわずか1年半ほどで終了したものの、このエピソードはビームスの社風をよく表しているといえます。
バーチャルマーケット2021への出店
ビームスは2021年12月に開催された、「バーチャルマーケット2021」に出店しました。
ビームスは過去にも、2020年12月の「バーチャルマーケット5」と2021年8月の「バーチャルマーケット6」にBEAMSバーチャルショップを出店しています。ももいろクローバーZとのコラボや、バーチャル銭湯、ロケット打ち上げ体験などメタバース空間を通じて様々な体験が提供されていました。
バーチャルマーケット2021は世界中から100万人以上の来場者が集まる、世界最大のバーチャルイベントです。
ビームスはその大イベントでバーチャルショップを出店しました。
1階の店舗ではビームス初のオリジナルアバターを販売し、さらに「ちびまる子ちゃん」や「オッドタクシー」などのリアル商品や3Dモデル商品も展開しました。
2階ではNetflixの映画「浅草キッド」と協業して「バーチャル浅草」を再現するなど、ビームスらしさ全開でイベントを大いに盛り上げました。
また、ビームススタッフのアバターがショップ内にランダムに登場、バーチャル接客を行うなど、セレクトショップらしさを忘れないところはさすがの一言です。
ビームスのメタバースでのコンセプト

ビームスのメタバースに対するスタンスは「バーチャル世界であってもビームス店舗の一つである」というところです。
ビームスはバーチャルでもリアル世界のビームス店舗の象徴、イメージをしっかり伝えようと、バーチャル店舗をビームス1号店である原宿店をイメージしたデザインにしました。
外だけでなく中にもこだわりがあり、ビームス原宿店に実際にあるらせん階段を、バーチャル店舗でもそれをイメージさせる同じようなものを作っています。
ただし、ビームスらしく、バーチャル店舗では現実の設計にとらわれることなく、空間づくりやコーナー展開にもこだわりが満載です。
接客にもこだわっていて、ビームスのバーチャル店舗ではボットやAIのアバターではなく、リアルのスタッフをアバターにして店舗に配置しています。
その効果はすでに出ており、バーチャル店舗に来店したユーザーとビームススタッフが仲良くなることで、リアル店舗にも本人に会いたくてやってきたということもあります。
ビームスがこれまでリアル世界で培ってきたコミュニケーションや接客ノウハウが、メタバースでも通用することを証明しました。
ビームスがメタバースで感じているのは「メタバースは感情と感性が飛び交う空間」であるということです。
ビームスが感じたメタバースで大切にしなければいけないこと、それはこれまで言われていたような品揃えなどではありません。
リアルと同じように、自己表現をしたい人々がメタバースに集まり、ビームスに来店し、スタッフと共通の価値観のもと、楽しくコミュニケーションをする。
つまり、リアル世界でやっていることとメタバースで求められていることは非常に近いことから、ビームスはメタバースにとても合っている、力を発揮できるといえるのです。
まとめ
ビームスがメタバースに感じてきたとおり、メタバースはリアルよりもリアルであり、ただ物理的移動がないため、日本中、世界中から同じ価値観の人々が集まり、化学反応を楽しむ場になるかもしれません。
メタバースがカルチャーとして根付くかはまだわかりませんが、メタバースで人々が自由に表現をし始めるのなら、価値観や消費行動などが今とは一新される可能性はあるでしょう。
自分自身の存在というよりも、人柄やキャラ、価値観が人々のデザイン性で表現されたとき、メタバースはより刺激的なものとして、ますます楽しい世界になっていくことを期待せずにはいられません。
ビームスはこれからも間違いなく新しい挑戦をし続けていくはずですので、メタバースでのビームスの動向に要注目です。
