今、世界中で話題となっている「DAO」は仮想投資家が知っておくべき、重要なキーワードです。
今回はDAOについて詳しく解説します。
DAO(ダオ)とは何か?
DAO(ダオ)とは分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organaization)の略で、Web3界隈のトレンドワードとして、今最も熱い言葉のひとつです。
DAOはだれでも参加できますが、DAOに参加するには特別な仮想通貨を購入するか、すでに参加しているメンバーから仮想通貨を受け取らなければなりません。
手に入れた仮想通貨はDAOのメンバーであることの証明となり、DAO内で方向性を決める際の投票権がゲットできます。
DAOの構成員は過半数のメンバーから承認を得ると、DAOで自動的に発行される「スマートコントラクト」の使い道が提案できます。
ブロックチェーンシステム上の機能であり、あらかじめ設定されたルールに従い、ブロックチェーン上の取引(トランザクション)、もしくは、ブロックチェーンの外から取り込まれた情報を基に自動で契約を実行するプログラムです。
リアル世界で同じようなものといえば「クラウドファンディング」のブロックチェーン版といえばわかりやすいかもしれません。
仮想通貨のなかでもトップクラスの流通量を誇る「ビットコイン」や「イーサリアム」もブロックチェーン上で一定のルールに従って運営されていますので、これらもDAOであるといえます。
他の有名なDAOとしては、イーサリアムブロックチェーンを活用して作られた「MakerDAO」、NFTの収集をするDAOである「PleasrDAO」、分散型の予測プラットフォームである「Augur」があります。
DAOが注目される理由は、仮想通貨がお金、DeFiで金融機関を、NFTでモノや土地のあり方を大きく変えようとしており、その延長として、DAOはそれ自体が組織を変える技術となり得るからです。
仮想通貨からDAOに至るまでの技術は、既存のリアル社会にあるインフラの考え方を大きく変える世界が、今、目の前まで迫ってきています。
DAOにはどのような特徴があるか?
DAOが持つ特徴について、詳しく解説します。
中央管理者がいない
DAOには従来の組織のような、中央管理者は存在しません。
そのため、DAOは非中央集権型自律組織と言われることもあります。
組織を統率する代表者がいないため、DAOに関わる意思決定は、組織に所属しているメンバーで行います。
従来型のトップダウン形式をテクノロジーの力で覆し、参加者が組織を変えていくという、新しいスタイルがDAOです。
透明性が抜群
DAOは透明性が高く、DAOがどのようなルールで動いているのか、だれでも閲覧できます。
ブロックチェーンという技術はオープンソースですので、ソースコードを見ればスマートコントラクトの内容が確認できます。
つまり、DAOのなかではどういうルールで組織が運営されているか、だれでも分かるようになっているのです。
だれでも参加できる
DAOはだれでも参加できますので、自分が興味のあるプロジェクトを見つけたら、自由にメンバーになれます。
インターネットに接続できる環境さえあればだれでも参加できるようになっており、「ガバナンストークン」があればDAOで組織の意思決定にも関われます。
分散型プロジェクトにおける意思決定に関与できる投票権のようなものです。新しく組織されたDAOに参加し始めた人たちはガバナンストークンを購入したり、入手したりできます。ガバナンストークンにはマネジメント的な役割や、プロジェクトのプロトコルを変更する権限が含まれることがあります。また、ガバナンストークンの保有量に比例して影響力が強まるよう設計されていることもあります。
株式会社のような組織ですと、組織の意思決定は一部の幹部で行われますが、DAOではどの立場にいるかどうかは関係ありません。
だれでもDAOを作れる
DAOは参加だけでなく、作ることもだれでもできます。
DAOの参入障壁はとても低いので、今後もDAOは増えていくことでしょう。
インターネット環境さえあればだれでもブロックチェーン上にDAOが作れますが、DAOを長く運営していくためには、プロジェクトそのものが魅力的な内容である必要があります。
DAOの注目度を高めるために、広報活動に力を入れることも必要でしょう。
DAOの種類
DAOのエコシステムには以下のようなカテゴリーが存在すると言われています。
- Protocol DAO
- Grant DAO
- Social DAO(Creator DAO)
- Collector DAO
- Venture DAO (investment DAO)
- Media DAO
- Service DAO
Protocol DAO
Procotol DAOは、借入/貸出アプリケーション、分散型取引所、DAppなどの分散型プロトコルを管理するために設計されたDAOの一種です。
簡単に言うと、プロコトルそのものを維持、運用、改良していくためのDAOです。
Protocol DAOはコアメンバーからコミュニティにプロコトルの権利を徐々に移行させ、将来的にコミュニティによって自律的に運営される理想的なDAOを目指すという傾向にあります。
Protocol DAOの代表的な例として、MakerDAO、Uniswap、Yearn Financeの3つが挙げられます。
Grant DAO
Grant DAOはWeb3分野で欠かせないソフトウェアを作成しているチームや開発者に金銭的援助するために存在しているDAOです。
Grant DAOは非営利の寄付を促進し、Web3のエコシステム全体に資本資産を戦略的に展開するために設計されています。
コミュニティはDAOに資金を寄付をして、その資本の使途をガバナンスを通じて決定するという仕組みです。
Web3分野ではソースコードと呼ばれるコードそのものをオープンソースとして公開する文化があることから、ボランティアでの開発となってしまうことが多いです。
そのようなソフトウェア開発者を補助金という形で支援することにより、開発を促進するという役割があります。
例として、MetaCartelは、Web 3の創出を加速させることをミッションとして、Ethereum上に構築されたdApp、消費者向けの新しいユースケースの実験、新しいDAOの作成、コミュニティ指向のイニシアチブなどに対して、1000ドルから1万ドルの補助金を与えています。
Social DAO(Creator DAO)
Social DAO、またはCreator DAOは、アーティスト、クリエイター、建設業者など、共通の関心を持つメンバー間で価値感を共有するDAOです。
従来のSNSと似ていますが、唯一異なるのはそのコミュニティへの参加の証としてコミュニティが発行するトークンを保有しなければならないという点があります。
初期のコミュニティ参加者がコミュニティを盛り上げて参加者規模を大きくすることで、その分だけトークンの需要が増え、トークン価格が上昇し、初期のコミュニティ参加者はキャピタルゲインを得ることができる可能性があります。
Collector DAO
Collector DAOは複数人でNFTを購入するなど、共同でプロジェクトに投資するためのDAOです。
主な目的は、メンバーが資金をプールすることで、NFTアートやその他の収集品に資金を投資し、各メンバーは個人の投資額に応じたシェアを得ることができます。
Collector DAOは特定のアーティストやプラットフォーム、シリーズものなどを集める傾向にあり、NFTを価値づける主要プレイヤーとして機能していると言えます。
Investment DAO (Venture DAO)
Investment DAOは、あるプロジェクトに共同で投資をするためのDAOです。
Investment DAOは、通常メンバーが各自手持ちの資産、クリプトを出し合って供託プールを作成し、それを財源に、ベンチャーキャピタルのように投資を行っていきます。
簡単に言うと投資ファンドのようなものです。
投資対象にはWeb3スタートアップ、プロトコル、NFTなどがあります。
Investment DAOのひとつである、Flamingo DAOは世界トップクラスの高級NFT投資DAOとなっています。
Media DAO
Media DAOは、ニュースなどのコンテンツを提供するメディアをDAO化したものです。
コンテンツが中央集権型で制作されたり、広告主の影響を受けたりするトップダウンのアプローチとは対照的に、コミュニティによってコンテンツが作成される分散型のメディアプラットフォームになります。
Media DAOは、通常はメディアが担当する記事執筆・公開などの作業を、DAOのコミュニティベースで行い、優れたコンテンツを提供するライターに対して報酬としてトークンを与えるというものです。
Service DAO
同じ領域の専門家たちでサービスを提供するDAOです。
Service DAOを簡単に言うと分散型の人材派遣です。
インターネットを介して様々な専門家が特定のプロジェクトを遂行するために集まり、クリエイティブな作業や開発、財務管理、宣伝など個々の能力に応じて働き、報酬としてトークンを受け取ります。
DAOの問題点
DAOは魅力的で新しいタイプの組織ですが、問題点もあります。
ハッキングリスク
DAOのひとつ「The DAO」は2016年6月にハッキングを受け、約360万ETH(約52億円)が盗まれました。
The DAO事件といわれるこの事件は、The DAOのプログラムの欠陥を突かれた結果です。
The DAO事件のように、DAOにもハッキング被害を受けるリスクが存在することは注意しておく必要があるでしょう。
なお、DAO参加者合意のもと、ブロックチェーンをハッカーに盗まれる前の状態に戻して、資産を取り戻しています。
いつでも合意が必要
DAOは参加者間での合意で運営されており、この体制がDAOの大きな特徴です。
しかし、それが時として「意思決定に時間がかかる」状態も引き起こしてしまいます。
株式会社のような組織であれば、社長の一声で決まることも多く、意思決定に時間がかかりません。
しかし、DAOの場合は分散型の組織であるがゆえに、問題への対処や修正に時間がかかってしまうのです。
法整備が追いついていない
DAOにもセキュリティや消費者保護が必要な段階にきています。
現在の法体制だと、ハッキング被害を受けて大量の仮想通貨が流出したとしても、ハッキングの被害者が被害にあった分の補償が受けられるとは限らないのです。
日本の仮想通貨取引所は金融庁の認可を受けて運営されていますが、DAOにはハッキング被害を補償する義務が存在していません。
現在の法体制下ではDAOの参加者が仮想通貨を取り扱う場合は、すべて自己責任であると認識しておく必要があります。
DAOのまとめ
今回はDAOがどのようなものか、DAOの持つ特徴、DAOの問題点について詳しく解説しました。
DAOの関連銘柄には将来性が期待できる仮想通貨もありますが、日本国内の仮想通貨取引所では取り扱っていないため、海外の取引所を利用しなければなりません。
海外の仮想通貨取引所はビットコイン建てで取引されている場合が多いので、まずは国内の仮想通貨取引所でビットコインを購入しましょう。
購入したビットコインを海外の仮想通貨取引所に送金し、そこでビットコインとDAOの関連銘柄を交換するという流れになります。
DAOは今後、株式会社や国家、様々なコミュニティにまで適用される可能性があります。
DAOはこれからどんどん伸びていくのは間違いありませんので、今から情報を集めて、しっかりとチャンスをものにしていきましょう。