メタバースの新しい可能性は、ファッションにも広がっています。
ファッションに関心のある層、特にZ世代はオンラインで過ごす時間が圧倒的に多く、メタバースでも中心になると見られているからです。
今回はファッションにおけるメタバースの新たな可能性について詳しく解説します。
メタバースでのファッションの可能性
これまでファッションに興味のある人は、ショッピングセンターやデパートなどに行き、いろんな服を見て、試着を楽しみながら購入するというのが普通でした。
それがメタバースを次の舞台として、ファッションの新しい可能性を提示しようとしています。
メタバースの定義として、人々が動き、遊び、交流して、買い物をするという、インタラクティブでクリエイティブな空間というのがあります。
メタバース自体はまだまだ初期段階ではあるものの、世界中から多くの関心が集まっていることもあり、ブランドやファッション業界にとっては最高のチャンスです。
メタバースはファッション業界にとって、Z世代やテクノロジーに精通した若者を取り込む、新しい機会を提供する場であるといえます。
デジタルアイデンティティが進化すると、メタバース内での感覚の使用も拡大しますので、特定の時代や場所で指定された自己表現であるファッションがメタバースに進出することは、とても理にかなっているといえるでしょう。
デジタルファッションの特徴
世界中でファッションに対する意識が急速に変化しています。
文化的な面でいいますと、ユニクロやH&Mのようなファストファッションからサステナビリティへの移行が進んでいます。
ファッションブランドは流行を生み出すスピードが速いものの、常に新しいトレンドのアイテムの生産を迫られますので、結果として環境に有害な廃棄物を発生させることがあるのです。
このように、SDGsといわれる持続可能性の欠如と、世界的な大流行によって直面しているサプライチェーン不足のダブルパンチにより、ファッション業界は新たな可能性を模索せざるを得ない状況となってしまいました。
そこでデジタルファッションが、ファッション業界の新しいチャンスとして登場しました。
デジタルファッションは物理的なアイテムを生産する必要がないため、生産コストの節約になりますし、環境に配慮した層にアピールできます。
例えば、最近の研究によると、デジタルの世界にしか存在しない衣服は、物理的な衣服よりもはるかに環境に優しいことが分かっています。
企業のデザイン・開発段階において、物理的なサンプルをデジタルに置き換えることで、ブランドの二酸化炭素排出量をなんと30%も削減できるというデータもあるのだそうです。
さらに、デジタル衣料は、実際の衣服の生産に先立つさまざまな段階でも非常に有効です。
例えば、バーチャル・アイテムをモデル化、サンプリング、マーケティングに活用することで、ファッション・アイテムのライフサイクル全体における環境負荷を大幅に軽減することができます。
また、販売面では、現在のファッション業界で大きな障害とされている過剰生産の問題を、服のデジタルモデルによって軽減することができます。
メタバースは限られた人にだけチャンスを与えられるわけではないのですね!
メタバースはコンピュータとインターネットにアクセスできる環境さえあれば、デジタル作品を制作、販売できますので、小規模でやっているデザイナーにも参入しやすくなっており、だれにでも平等にチャンスが与えられる世界なのです。
メタバースでのファッションブランドの活躍
メタバースでファッションがどのように機能しているか、具体的に知るために最適なのが、メタバースにすでに参加しているファッションブランドの動きをみることです。
ファッション業界のメタバースへの投資の多くは、年間で400億円ドル規模といわれている市場「ビデオゲーム」を通じて行われています。
バレンシアガ
バレンシアガはバーチャルファッションを取り入れた最初のブランドのひとつです。
バレンシアガは最近になって、メタバースビジネスユニットを社内で立ち上げ、メタバースでの新たな機会を探る計画を発表しました。
2021年秋にはゲームアプリを通じてシーズンコレクションを発表しており、さらに世界中で大人気のゲーム「フォートナイト」と提携して、ゲームのキャラクター用の「スキン」シリーズを制作しました。
ドルチェ&ガッバーナ
ドルチェ&ガッバーナもメタバースに鋭い視線を送るファッションブランドのひとつです。
ドルチェ&ガッバーナはUSXDマーケットプレイスで、メタバースの世界では最もよく知られている仮想通貨「イーサリアム」で購入できる、9点のデジタル衣料テックドロップをリリースしています。
ドルチェ&ガッバーナの初回NFTコレクションは、驚愕の600万ドル近い金額でオークションにかけられたことで、大きな話題となりました。
Tokens.com
ファッションブランド以外でも注目すべきなのが、Tokens.comの動きです。
Tokens.comはメタバース空間「Decentraland」において、過去最大規模の仮想土地取得となる、6,090平方フィートのデジタル土地区画について取引を行いました。
その価格は総額240万ドル分の仮想通貨で購入したといわれており、これまで最大の不動産取引となります。
Token.comの目的はデジタルプロパティがファッションブランドの広告を出したり、ファッションショーを開催したり、Eコマースの店を持つために使うことです。
Decentlandのファッションストリート地区という便利な場所の土地を取得したことにより、Tokens.comが近い将来、ファッションブランドとメタバースユーザーをつなげる役目を果たすことでしょう。
まとめ
ここまでメタバースとファッションの関係について詳しく解説してきました。
メタバースを語る上でNFTは外せませんが、NFTもファッションとすでに深いつながりがあります。
NFTはファッション業界にとって、顧客に高級品を独占的に提供する手段です。
ファッションNFTを所有することにより、世界に一枚しかないトレーディングカードのようなものであり、衣服に代わるファッション資産でなく、人気の高いコレクションを持っているという価値観に変わります。
このように、メタバースはだれもが探索し、楽しむことができる身近な空間として認知が広がっています。
ファッション業界からみたメタバースは、ファッション業界に明るい未来を提供してくれるものであり、無限の可能性を感じさせてくれる世界です。
今後、メタバースに参入しているブランドは増えてくることでしょう。
実際、ルイ・ヴィトンやグッチ、フェンディ、ラルフ・ローレンなども遅れをとることなく、メタバースに参入しています。
これまでブランドが自分とは縁のない世界だと思っていた人も、メタバースのなかでは身近なものに変わるかもしれません。
ぜひメタバースで様々なファッションを楽しんでみてください。