Revelio Labsの調べによると、「メタバース」をタイトルに含む全業種の月間新規求人情報は、昨年秋のFacebookのMetaへの社名変更の後の数ヶ月で急増した後、4月から6月の間に81%減少しました。
この落ち込みは、ハイテク産業全体がレイオフや雇用凍結を促した時期と重なっており、アメリカの先端産業が集中するベイエリアや、インドの先端産業が集中するベンガロールの労働者は、その悪影響を全面的に受けていることになります。
Meta社は5月に採用ペースを減速しましたが、ここ数カ月で回復して来ていると言います。
広報担当のAndrea Beasley氏は、「当社では一時的に特定の職務の採用を停止していましたが、最優先分野の一部で採用活動を再開することになりました。」と述べています。
第2四半期に5,700人以上の純増員を行った同社は、機械学習、AI、グラフィックスなどの分野で積極的に人材を確保しようとしています。
同様に没入型デジタル技術の開発にも積極的なグーグルの親会社アルファベットとアップルの代表者にもコメントを求めましたが、回答は得られませんでした。
Revelio Labs所属の経済学者ジン・ヤン氏の見立てによると、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが、仮想現実やその他の始まったばかり分野に大きな投資をしたことで、それが誇大広告として作用し、あらゆる企業がその分野の専門家を探すようになった結果、一時的に過剰な需要を生み出し、今になりその需要が落ち着いたという説があるようです。
ザッカーバーグ氏は7月27日のメタ社の決算説明会で、収益不足を理由にメタバースへの長期投資のペースを落としていると述べました。
仮想現実の分野でMeta社のライバルとして台頭してきたアップルもまた採用についてより慎重になると述べています。
インターネットの次の世代に関する前向きな発言は避けているとは言え、拡張現実などの分野では積極的に動いているように見えるアルファベット社も同様に採用活動を鈍らせています。
しかし、フリーランスの人材マーケットプレイスFiverr International Ltd.によると、メタバースのフルタイムの仕事が少なくなる一方で、アバター開発や3Dデザインといったメタバース関連サービスのフリーランスワーカーの数は4倍以上に増えているそうです。
最近は仮想通貨もその価値が低い状態が続いており、メタバースや仮想通貨のような先端的な分野全体で苦しい期間となっています。
先端技術への積極的な投資で地位を確立したい先端企業からみると逆境と言えるでしょう。
しかし正社員ではないフリーランスのワーカーは増えているようで、これを技術の発展によって「自由な働き方」ができるようになった事例として好意的に捉えるべきなのか、それとも企業の「人件費節約の為の手法」ではないかと疑いの目を向けるべきなのか。
その辺りは、今後の流れを注視して判断する必要がありそうです。