2000年代にすでにメタバースが誕生していたのはご存じでしょうか。
メタバースの先駆けとなったのが、2003年にLinden Lab社からリリースされた「セカンドライフ」です。
そのメタバースの先駆けとなったセカンドライフと現在のメタバースについて、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事では、2000年代に注目を集めたセカンドライフについてご紹介します。
今後のメタバース事業に参入したい方やメタバースに興味がある方は、ぜひ参考になさってください。
セカンドライフとは
セカンドライフは、2003年にLinden Lab社からリリースされました。
パソコンからログインをして、ユーザー同士チャットでコミュニケーションがとれたり、土地の売買や買い物ができたり、その売買に使う独自通貨のリンデンドルがあったりと現在のメタバースの原型になったといっても過言ではありません。
ゲーム内のお金を現金に替えるリアルマネートレードができる、まさに今の仮想通貨のような役割を果たし、ユーザーは稼ぐことができました。
日本でも2007年ごろ人気に火がつき、大企業も参入し当時注目を集めました。
当時400万人を超える登録ユーザー数がいたといいます。
ではなぜ、セカンドライフは衰退したのでしょうか。
そもそもメタバースやアバターという概念は、1992年に発売されたニール・スティーヴンスン氏の小説「スノウ・クラッシュ」で生み出されました。
スノウ・クラッシュに感銘を受けたLinden Lab社のコーリー・オンドレイカ氏は、スノウ・クラッシュのメタバースを実現できないかと動き出したことが始まりでした。
現在のメタバースとセカンドライフの違い
現在のメタバースとセカンドライフの違いは何でしょうか。
時代の違い
一つ目は、時代の違いです。
セカンドライフがリリースされた2000年代と現在の2020年代の違いを比べてみると分かります。
例を挙げて、SNSや携帯電話で比べてみると、2000年代前半のSNSだとmixiやモバゲーが主流で、携帯電話はガラケーが一般的でした。
2000年代後半になるとTwitterが広まり、スマホも発売され始めたのがこのころです。
2020年代の今は、SNSだとInstagramやLINEが主流になり、ご存じの通り携帯電話はスマホを大半の人が使っています。
この2020年代を2000年代に想像できた人はどれくらいいるのでしょうか。
このように身近なもので比べても、時代の進化は目まぐるしく変わっています。
技術の違い
二つ目は、技術の違いです。
セカンドライフの2000年代と現在のメタバースである2020年代を比べると、第一にパソコンの処理速度やスペックの違いがあります。
その他にも現在は、デバイスの開発が進み、NFTやブロックチェーン、仮想通貨も浸透しつつあります。
セカンドライフはWindowsパソコンのブラウザでログインをしてプレイしていました。
現在のメタバースでは用途に合わせて多様の楽しみ方ができます。
スマホやゲーム機で遊べるものやヘッドマウントディスプレイと呼ばれるVRゴーグルを装着し没入感を楽しめるもの、その人の用途や目的に合わせて楽しめることが、現在のメタバースブームを加速させた要因のひとつです。
2021年にFacebook社が社名をMeta社に変えると発表し、メタバース事業に注力することになったことも現在のメタバースブームの火付け役となりました。
セカンドライフは失敗だった?
はたしてセカンドライフは、失敗だったのでしょうか。
筆者は、失敗ではないと考えます。
なぜならセカンドライフのサービスは、今もなお続いているからです。
さすがに会社がつぶれてサービスが終了していたら、失敗となるでしょう。
しかし19年以上続いています。まだセカンドライフをプレイしている人がいて、企業側の開発チームがいるからこそ19年以上続いているのでしょう。
セカンドライフの二の舞にならないためには
「セカンドライフの二の舞にならないためには」という語弊がありますが、メタバース空間を作るにあたって、同じ道を通らなくて良いようにセカンドライフのたどった歴史を知ることはとても重要です。
メタバースという最初の道を作ってくれたサービスですので、メタバース事業を展開していく方や今後のメタバースに期待をしている方は、セカンドライフ19年のストーリーを知りましょう。
なぜ今セカンドライフが流行らないでいるのか
2000年代にリリースされたセカンドライフは、時代が早すぎたという声も多くあります。
筆者もその意見に同意します。パソコンの通信速度も遅く、アバターはカクカクした動きでかわいいとは言い難いものでした。
しかし、2022年1月にセカンドライフの立ち上げメンバーであったフィリップ・ローズデール氏が戦略アドバイザーとして戻ってきました。出典:Linden Labプレスリリース
加えてフィリップ・ローズデール氏が2013年に共同設立したHigh Fidelity社のメンバーLinden Lab社に合流すると発表されています。
High Fidelity社は、音声配信アプリの「Clubhouse」などで利用されている空間音響の技術を駆使して、セカンドライフ事業を拡大していくでしょう。
Linden Lab社のこれまで19年間の運用ノウハウとHigh Fidelity社の音響の融合でメタバースを盛り上げてほしいものです。
まとめ:セカンドライフは失敗ではない!
セカンドライフは、失敗ではないと言えます。そして今後に期待できるサービスです。
その理由は、これまでお話したとおり
- 企業が倒産していない
- サービスがまだ続いている
- フィリップ・ローズデール氏の再参加
セカンドライフに足りなかったものを強いて言えば、パソコンの解像度も低く当時のアバターが可愛くなかったことや一つのワールドに入れる人数が少なかったこと、法整備が追いついておらず無法地帯であったことでしょう。
現在、アバターは「メッシュ」という新しいシステムが追加され、オープンメタバースという他のメタバースプラットフォームで使用しているアバターを取り込みアバターとして設定することもできます。
顔の表情や細かな動きも表現でき、アバターのクオリティーが向上しています。
このように2000年代とは違い、仮想空間やVRに対して技術も進歩していることが魅力的です。
また一般の人々にも浸透してきているのでこのタイミングでもう一度セカンドライフの名を響かせてほしいと願います。
セカンドライフは今でもサービスは継続していて無料でプレイできます。ぜひこの期間に遊んでメタバースの世界を楽しんでください。