世界的なコーヒー企業であるスターバックスは、NFT、そして顧客とのより良い関係に注意を向けています。
スターバックスのCEOであるハワード・シュルツ氏は、Web3がスターバックスの人気ポイントシステム(Starbucks Rewards)の将来に一役買うことになるだろうと語りました。
「私たちは、業界をリードするデジタルプラットフォームを革新的な方法で構築する、非常にワクワクさせるような先進的活動に取り組んできました。」
シュルツ氏によると、同社は9月13日、シアトルで開催される年次イベント「Investor Day」で、この新しいデジタル構想を具体的に発表する予定です。
この構想により、スターバックスは現在のポイントシステムをベースにしながら、顧客をより感情的に惹きつける新しい手法を導入することになります。
そして、「デジタル・サード・プレイス・コミュニティに向けたアプローチを拡大し、より幅広い景品を提供できるようになる」とシュルツ氏は述べています。
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サードプレイスとは
サードプレイスとは、家庭と職場の間にあるコミュニティ空間を表す社会学用語です。
CEOによると、これらの景品には、景品としての価値とコミュニティ構築の両方を目的とした要素として、他にはない体験や、スターバックス・ブランドのNFTなどが含まれるそうです。

「これによって、まったく新しいデジタル・ネットワーク効果が生まれ、新しい顧客を引き付けることができる。我が社のビジネスモデルの中核である店舗の既存顧客にも、今以上の付加価値をもたらすだろう。」とシュルツ氏は述べています。
しかし、スターバックスとWeb3構想の関係は、従業員から熱狂的に支持されているわけではありません。
5月、NFTに関するセクションを含むプレゼンテーションの最中に、「マーク」と名乗るエンジニアを称する従業員が、NFTが環境に与える影響を理由に同社の計画に反対する声を上げたのです。
「ブロックチェーンはそれがPoCであれPoWであれ、環境にポジティブなものではありません。それは環境を破壊するものです。この会社がそのような方向に進むことは、技術者である私に限らず、多くの人を不安にさせてしまいます。スターバックスに対してこのような思いを抱きたくありません。」と彼は話しました。
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PoC、PoWとは
PoC、PoWとは、どちらもブロックチェーン上での決定権を付与する方法のことです。ブロックチェーンにおいては、従来のネットのような管理者が存在しないので、PoCやPoWといった仕組みで権限を管理します。どちらの方法も大きな電力を消費する為、環境への悪影響が懸念されています。
マークは加えて、NFTは包括的というより排他的であるとも主張しました。
NFTコレクションの中には、優良株コレクターの全員が欲しがるようなものがいくつかあります。中でもBored Ape Yacht Club NFTコレクションは有名です。
先月、スター歌手のマドンナが、「私はどうしてもApeが欲しくて、その中でも何が欲しいか具体的に決めているわ」と発言し話題となりました。
「革製のオートバイの帽子をかぶり、色とりどりの歯をつけた猿が欲しかったの。」とマドンナは後に話しています。
話題の猿、Bored Ape #3756はOpenSea(世界最大のNFT取引プラットフォーム)に掲載されており、価格は800.69ETH、当時で約127万ドル(およそ1億7千万円)でした。
スターバックスが初めてブロックチェーンの世界に足を踏み入れたのは、4年以上前、小規模農家を支援するための「Bean-to-cup」トレーサビリティ・プロジェクトの時でした。
顧客、従業員、投資家が、この最新のWeb3への第一歩を受け入れるかどうかは、まだわかりません。しかし、シュルツ氏はこの取り組みを、巨大企業の計画する大きな変革の一部と位置づけています。
「私たちは、私たちの改革計画が作り出すパワーとチャンスを、十分に発揮することを楽しみにしています」と彼は述べています。